RENTを見た

RENTの来日公演をね、見に行ったんですよ。
10日の夜公演。見終わったらなんかその場のノリで12日の昼千秋楽のチケットも取ってました。

というか映画版をみたのが7月5日のことだったんですよね。それまでは「一年を分数で言うやつ」ぐらいの情報しかなくて、全く内容とか知らずにSeasons of Loveのあの棒立ち風景しか知らなかったので逆にあんまいい印象持ってなかったんですよ。もう一月前までの自分を殴りたい。
オタクの同業者に「RENT見たけどマークくん好きそう」と言われたのが事の始めだったんですが、まぁどうでしょう見事に沼です。紛れもない主人公なのに限りなく狂言回しに徹する主人公らしくない主人公Mark Cohen。ヤバイですね、好きにならないわけがない。しかも映画版じゃ唯一のソロ曲を撮影までしたのにカットされる不遇っぷりですよ。そしてこのマークくんの映画版/OBCであるアンソニー・ラップの顔がただひたすらに良い。好み。Tango:Maureenの顔大写しとかそんなして大丈夫? 恵まれすぎてない? 私基本的に推しが背景に間違い探しレベルでしか出てこなかったり作画が残念だったりするんで、こんな360度どこから見ても顔の良い推しっていうのが初めてなんですよ……ありがとうRENT……
そういう訳でTwitterには幾らか書いたんですが、ちゃんと纏めておきたいので来日公演の感想をメインにRENT語りしようと思います。

まずRENT来日公演2018感想から。
2018/08/10 夜公演
 生ミュージカルは2017年4月のSingin’ in the rainアダム・クーパー特別来日公演以来の二度目。S席16列目センター。
 まず全体的な感想として、日本語字幕が死ぬほど分かりづらい!! まあこれは映画字幕の時も同じことを思うんですが、もう情報量が映画のそれと比にならないほど少ない。多分初見の人あれじゃ全然わかんないでしょ……ちらほら周りにいた初見っぽい人達はだいたい皆同行者に解説してもらっていた。私の同行者(映画視聴済み/舞台版初見)もおっつかないところが合ったみたいだし……あ、私は映画とライブ・オン・ブロードウェイそれぞれ三週して曲の歌詞概ね履修してスクリプト一回読んで完全装備で行きました。自分の中で日本語訳が上手く言ってないところだけ字幕見た感じ。

 この日はポール役とマークの母役の人が代役でした。Voice Mail#1で出てきたときになんかあんまりマークの母っぽくないな~と思ったら(12日は本来の役の人だったので)やっぱり代役の人だったんだな、と納得。ポール役の人は12日も代役の方でした。

 Tune upに入る前の初っ端、これは2回目見てわかったんですがカメラが三脚にすんなり入らなくて暫くマークが手こずってたのが可愛かった。ミミ役の人が短髪というかもはや刈り上げスタイルなことに最初見た時ビックリしました。二幕入る頃にはもう慣れてたけど、映画もライブ・オン・ブロードウェイも長髪だったので。髪解いてラメ振り回す演出どうなるのかな、と思ったら胸元からスッとラメの仕掛け取り出してブワッと振り掛けるんですね。すごく綺麗だった……

 Today 4 U。”Angel! Dumott! Schunaaaaard!”はどの媒体でもいい台詞だ。そしてエンジェル登場と同時に上がる拍手と悲鳴。ヒールで飛び跳ねドラムをかます姿には圧倒されますね。カツラが銀髪なのはカラーリング的な問題なんだろうか。まあ確かに目立ってはいたが。

 Tango:Maureen。いや~~~~可愛い!! 可愛いってこれは。映画もブロードウェイもだけど生で見てもやっぱり可愛い。ジョアンを誘うときのあの一度深呼吸して背筋を伸ばしてスッ……とポーズを取るマークくん。アンソニー・ラップはジャケットを投げ捨てるのもあって挑発的な印象が大きいですが、このマークはどちらかというと「背伸びした少年」のようなイメージが強かったような気がします。対するジョアンがコートのチャックを下ろすと真っ赤なブラウスが見えるのがまたセクシー。確かこの日はここでちょっと客席から声が上がった気がする。

 Life Support。映画版だと普通に大人しく入ってくるマークですが、舞台だともう完全に闖入者。笑いどころなのは確かだけど、状況が状況なだけに笑いにくい。「I dont’ have……」で言い淀むのがマークらしくてとても好き。一階席だとここから暫くマークがポールに隠れて何してるんだか全然分からないんですよね……

 Another Day。やっぱロジャー中型犬じゃない? メチャメチャミミのこと好きじゃん……でもエイプリルのことがあるし自分のHIVのこともあるからハナから諦めるべきだ、という葛藤に悩むけど自分の中に留めきれなくて周りに当たる厄介な青年感がとても良く出ていて好印象でした。これは虐めたくなるタイプのロジャー。

 On the Street。”And a Merry Christmas to your family “の台詞を言う左上のホームレス役の人が好きです。というかホームレス達が地味に好き。おばさんに逆ギレされて目に見えてうなだれてしょんぼりするマークドチャクソ可愛いんですけどなんなんでしょうか。続くSanta Feで最初励まされてるのに居た堪れなくて駆け出して逃げ出そうとするのを、コリンズに胴体から片腕で止められて戻される辺りで、「長男コリンズ、次男マーク、三男ロジャー」のイメージが自分の中でぼんやりと形成されてきました。これは12日公演のラストで確立されます(予告)。

 We’re Okey。テンポがよくて好きです。でもちょっと気を抜くと特に後半の下りがどことどこで会話が成り立ってるのか分からなくなってしまう。ペントハウスAに住んでる黒髪短髪のカルヴァン・クラインのモデルのジルとモーリーンが一緒にいて(≒浮気しそう?)、「ニュートにレズビアンの妹がいる」という情報はそのジルからモーリーンが聞いて話して電話越しにジョアンの父に伝わった……ってことでいいんだよね……?

 Christmas Bells。多分マークくん抜きにしたら一番好きな曲。こういう群像劇がブワッと繰り広がられるの性癖。ライブ・オン・ブロードウェイだと”Rudolph the red nosed reindeer”でツノ代わりに中指立ててるんですけど、この公演だと普通に人差し指でやってるみたいですね。ホームレホームレスとジャンキーのやり取りを左上のロフトから黙々と撮ってるマークにはある種の狂気というか冷たさを感じてまた良さがあります。何度も言ってるけど映像作家を名乗るやつに正味マトモなやつはいねえからな!(※意見には個人差があります) そして予め予習してきたにもかかわらずまっっっっっったく後半のカオスで歌詞が聞き取れない!! ジャンキーパートだけはやたらと耳につくけどそれ以外が全然分からない……字幕どうなるのかなと目を移してみたらもはや完全に役目を放棄してて笑いました。まぁこれは無理だよな……

 Over the Moon。Christmas Bellsからのモーリーン登場時のバイク演出、失禁レベルでかっこよくない……? Christmas Bellsの盛り上がりも相まってテンション最高潮ですよ。今まで逆光で見えなかったモーリーンの姿が初めてここでようやく見えるっていうカタルシス。ムーは結構あっさりめで、拍手と同じように煽って煽って下から上に切るって形でした。楽しかった。

 La Vie Bohème。もう見てるだけで楽しかった。Mucho Masturbationでもっとはっちゃけてよかったんだよマークくん! でもここで控えめというのも次男的な性質の大きいローガン・マークスのマークぽさを感じました。あとモーリーンがイエスを出産した後、自分で産んだ癖に直後「ウゲーッ」みたいな顔して隣にパスして渡された方も嫌がってドンドン隣に赤子がたらい回しにされるとかいう茶番が後ろで繰り広げられてて面白かったです。

 第二幕。Happy New Year Bで仲直りした時、マークがロジャーの事をまるで犬撫でるみたいに髪と胴体ワシャワシャするのがあまりにも可愛くてオタクは声もなく死にました。やっぱり犬イメージあるのでは……? オタクの妄言……? ローガン・ファリン演ずるロジャーくん、ホントすっごい犬っぽさがあるんですよね。トゲトゲしているというよりかは中型犬がギャンギャン吠えているイメージ。そしてこれはライブ・オン・ブロードウェイでもそうなんですがここの”That Bench!”のジョアンとマーク、息ぴったりで良いですよね。可愛い。ずっと可愛いしか言ってねえな。

 Contact。ここは後半字幕がもはや完全に黙っていたのでこれはやっぱり「舞台に集中しろ」と言うことなのかなと。シーツを纏い下から風に煽られ後ろからは強烈な光に照らされるエンジェル、あまりにもかっこよかった。もはや一挙一動が美しい。あとここ、スクリプトでも確認したんですけど他のメインキャラには台詞があるのにマークだけはアンサンブルの歌詞しか与えられてないんですよね。パートナーが居ないから、ということか。シーツ脱いでからも一人だけささっと下手に下がるし。”It was bad for me Was it bad for you?”のところも状況からしてマークは歌ってないのか確認したかったけれど、これは結局確認できず。

 Halloween。推しのソロ曲だ――!! バズラインへの電話の時、”My friend’s fu……(neral)”って言いかけて止めてましたね。Happy New Yearのモーリーンへの言及がHicksvilleじゃなくてNew Jerseyだったのもオリジナル演出版だからなのかな? 映画だとカットされちゃったけどやっぱりマークの孤独感を補強する曲だし、続くGoodbye Loveのロジャーとの喧嘩もHalloweenのメロディで展開されるのでやっぱ必須だよなぁと。

 Goodbye Love。二人だけお先に失礼するモーリーンとジョアンも妙なおかしさがあって良いんですが、
  ”For somebody who’s always been let down who’s heading out of town?”
  ”For someone who longs for a community of his own who’s with his camera alone?”
 の二人の互いへの怒りの感情が映画やブロードウェイに比べてぶっちぎりで強かったように思えてテンション上がりました。少なくともマークがこの台詞であんなに怒鳴るとは思ってなくて興奮した……基本マークは抑え役なのでここまで感情を顕にするのはレアだなあと。怒鳴り方もロジャーへの怒りがある一方で図星突かれてムキになってる色が見えてよかったです。
 What You Own。好き。ロジャーとマークの二人で所狭しと舞台上を彷徨く。この曲、サビのデッデーンってところで二人が鏡合わせになるように首を左右に振り付けがあってそれがものすごくかっこよくて気に入りました。ライブ・オン・ブロードウェイではなかった気がする……

2018/08/12 昼公演
 S席17列目中央ブロック端。ほぼ変わらず。I’ll Cover youでコンタクトが暴走して一時退出しました……ごめんね……曲が終わるまでには帰れたからまだよかったけど。
 10日は主に全体眺めてたので、この日はオペラグラスで延々とマークくんのストーカーしてました。推しが出来ると本当に推ししか目に入らなくなっちゃうんですよね。いやもう可愛い……あまりに可愛い……笑顔がすっごい幼いんですよ、ローガン・マークスのマークくん。……今回の公演、マークとロジャー役がそれぞれローガン・マークスとローガン・ファリンだからメチャメチャややこしいですね。キャラ単体で言ってもマークとマークスだし。そういう訳でここからは10日公演分と違ったところだけ、マークくん特化です(充分今までもマーク特化だった気がする)。

 RENT。今日はすんなり三脚入ってよかった~! この日はマーク母も本来の人。マークの母役は金髪に青いメッシュってテンプレがあるのかしら。あの髪型メチャメチャ好きです。そして代役の人も勿論良かったんだけど、やっぱり本物(? 代役の対義語って何だ?)は違う。「マークの母」感が凄い。”Mark, are you there?”の声の裏返り方が凄く色気があって、でも下品な感じではない、芯の強さを感じる声。

 Todau 4 U、マークくんエンジェルから貰ったお金キッチリ数えてるのね。そしてエンジェルのドラムでパカパカ叩き始めるの可愛い。そしてそこまで上手くない。

 Tango:Maureen。バックで踊る時がホントに踊りにくそうにしてて面白かった。あと踊り終わって地面に落とされるの、あれ普通に痛くない? 受け身は取ってたけど。Life Supportの登場といい、マークはコメディリリーフも兼ねてるのかしら。道化というか。徹底的に主人公なのに主人公らしくない扱いを受けているマーク……

 We’re Okay。ここのジョアンの電話相手のSteveとライフサポートのSteve、同じ人なのかなあと思ったけどちょっと調べても全く情報が出てこないので不明。誰か知ってたら教えて欲しい。

 Christmas Bells。今日はマークロジャーミミのパートを辛うじて聞き取れた。あとはエンジェルの値切り交渉が聞き取れればいいんだけど、如何せん絶対的な人数が少ないからどうしても聞きづらいんですよね……OBCサントラでも耳がまだ慣れてないからうっすら聞き取れるかどうか……。この日は”Honest Living!”で拍手が起きた。あそこは個人的に好きなパートでもあるし、やっぱり昼とはいえ千秋楽で皆テンション上がってたのかしら。

 Over the Moon。千秋楽だからか”Moo with me!”に対する初手の観客の反応に対するレスポンスが凄くアツかった。「そうそうそう! それ! 全員ね! 全員やって!!」身の乗り出し具合も凄くてこれ夜公演とかどうなってたんだろうな……

 La Vie Bohème。10日の時点でちょっと気になってたので、この曲だけはウェイターを追ってました。注文確認した後シレッと参加しちゃってるんだよな。お前もボヘミアンか! そしてI Should Tell Youのときにその親密さで客の男の一人とくっついてるってことはお前もゲイなのか?! 一緒に騒いでる最中ベニーの”Waiter, waiter, waiter”でやっべみたいな顔して舞台奥に置いてあるコートの後ろに隠れる(すぐ隣でベニーがMr.グレイかアリソン辺りに電話してる)のは笑った。ライフカフェこんなやつ雇ってて大丈夫か? タイミング見て出てきたところを見つかって”Cheeeeeeeck!!!”で追いかけられて退場ってのもドタバタでライフカフェのカオスさが出ている。

 Happy New Year。モーリーンの尻カメラで突っついた挙句バッグの中身大写しにするマークくんマジただの小学生。今回の”That Bench!”では肩ごっつんこしてました。完全に仲良しじゃねーか! そしてこれはOBCサントラでもそうだけど、ラストの売人の”there, there……there there……”がメチャメチャ悪人感出てていいんだよな。不吉の象徴。

 Gooodbye love。10日でも書いたあの喧嘩シーンなんですが、この直後のロジャーの”I’ll call”に背中向けたままだけどもそれでも笑って手を振ってるんですよねマーク……死ぬほど可愛い……可愛いよ……そこで無視するとか不機嫌な顔で手だけ上げるのではなく、ホントにしっかりとした笑顔で手を振り返すのが……。ベニーとコリンズは多分すごく仲良かったんだろうなって感じがこのラストで感じ取れますね。あとベニーとマークが”Come on guys, Chill!”で一緒に周りを諌めるシーンが中々好きなんですよね。その後で「ホントコイツらしょうがねえな」ってやれやれ顔で二人肩を並べてるシーンがあってそこでもやっぱり完全に嫌い合ってる訳じゃないんだよなあ、と感じられて嬉しくなった。

 Voice Mail #5。ロジャーの母役の人、若干Santa Feの歌い出し不自然に詰まったような気がして惜しかったなあ……。そしてマーク母の”Please call your mother”の「Mother」部分、日本語だったら濁点がメチャメチャついててコブシが利いた歌声なんですけど、これライブ・オン・ブロードウェイもOBCサントラでも同じような感じなのでマークの母役はコブシが利いてないといけないみたいな要項あるんですかね。

 Finale。コリンズがマークとロジャーを肩に抱いて、先にマークにハグするんだけどそのあとロジャーが「俺にもやれよ」と言わんばかりにコリンズの膝を揺するのがあまりにも兄弟だった。

そんな感じで6000字も感想を書いてしまった。いつもの小説一本分じゃねーか!!
2020年にまた公演があるっぽい? のでその時は多分また見に行くんだろうな……と思います。あと直近ではSomething Rotten!が見たいけど日本語だからどうなるのか、海外ミュージカル日本語化アレルギー者にはちょっと怖い。


こっから残りは各役者さん毎のMark Cohen像覚書です。

・アンソニー・ラップ
 殿堂入り。やはり一番成熟している感じが強い。最初に見たRENTがコメディ色の必然的に薄くなっている映画版なのでそれに大きく影響されているところはあると思う。
 Mark Cohenというキャラクター自体、自分とそれ以外に対してカメラという物理的なレンズを隔てているのと同時に精神的にもある程度隔絶してしまっているところがあるように思える。隔絶、と言っても必ずしもマイナスな意味だけではなくて、自分は自分、他は他と割り切れている。その割り切りが一番良いのがアンソニー・ラップのMark Cohen、な印象。被写体がなんだろうが容赦なく撮りたいものなら撮れる(ただし凹まないとは言ってない)。
 でも自分の弱みには多分自分では気づけていない、故に頑固気質なところが大きい。ロジャーの”I’ll call”にも視線を床に落とすだけだし。One of us to surviveであるが故に意固地というか、ロジャーやミミに対しての保護者であらねば、という意識が強いように思えるけど実際周りはあんまり見えてない。荷物抱えてたら自分の問題に躓いてすっ転んでる感じ。でも思い切りは良いので「あ、これ駄目だな」と思ったらささっと止められる(バズライン)。意外と下ネタは一番大人しい。

・アダム・カンター
 Mark Cohenのキャラクターとしてはアンソニーとローガンの丁度中間かな、という印象。好青年。いやまぁMark Cohenは好青年なんだけど。”Sell us your soul”の顔は一番彼が好き。マジで魂売ってる顔だよあれは。自分の弱みに気づいているけど気づかないふりをしている、冷静だけど頭の中では実は色々ぐるぐると考えてるイメージ。ロジャーとは同等の立ち位置。
 ”I quit!”の思い切りが一番良いけど、その決断に至るまでも一番苦悩してそう。現状が駄目な事には気づいてるけどそれでどうする? みたいな。
 あとMucho MasturbationといいHappy New Yearといい下ネタで一番はっちゃける。大人しそうな顔してお前……

・ローガン・マークス
 上でも散々書いたけど、一言で言い表すならやっぱり「次男」。上二人に比べると遥かに若い。自分の弱さは知ってるけど、ぬるま湯の中から抜け出す方法が分からずに佇んでいるといった感じ。ロジャーは弟のようで、でもコリンズが兄的立ち位置にあるのでアンソニーのMark Cohenよりも背負う重荷が少ないが故に未成熟。
 下ネタは小学生レベル。可愛い。

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