見に行きました。映画版のみ履修。
2019-07-13 昼公演
14列目だったのでオペラグラス使わなくてもそこそこ役者の顔の表情が見れるいい感じの席だった。字幕は結局一階席じゃどこも見にくい気がするんだよな……というか「王様と私」はそんなに小難しいことをつらつら喋るタイプの話ではないのであんまり見なかった。字幕表示されてるところの柄とかほぼ意味をなしてないしせっかく装飾したものの上に映してしまうんならそこいらんかったのでは? などと思ってしまう。
・第一幕
I Whistle a Happy Tune
は~ケリー・オハラ 圧倒的 しかし圧倒的とはいえ音圧で完膚なきまでに叩きのめしてくるようなタイプの圧倒感ではない。あくまでもおおらかに包み込むような安心感のある音。すごい。母だ。あとこの時点でルイス役のLewis Fernéeがあまりにも美少年でビビるし歌も上手い。いや皆上手くない???????? 当たり前か。そうか。そうか…………上手いよ…………
客席側から厳かに歩いて登場する渡辺謙、基い王。通路は上手側で自分の座席は下手側だったのでちょっと残念。しかし眼鏡似合うな……タプティムの顎を眼鏡でクイッと上げるとかなんだそのテクニカルな仕草は! 眼鏡キャラが絶対にすることのない眼鏡仕草だ!!
My Lord and Master
タプティム怒りの歌唱。そりゃキレるわ。高音の響きがあまりにも強い。そりゃあ王との夜でも感じませんわ。あの王とクララホムの「あの女、喜ばんのだ」「まさかそんな、ありえない!」って会話も面白かったけれど。
March of the Siamese Children
かわい~んすわ。アンナにダイレクトスカートめくりをやらかすエロガキとそれに対する周囲のリアクションがピカイチ。
Hello, Young Lovers
トムの写真が入っているロケットにずっと手あててるんですねアンナ。ルイスがあまりにもしっかりしているのでいくらか楽だろうけど、そういえば未亡人なので結構生活とか大変なんだろうな……と思ったんだけれど、結構裕福な家庭の教養ある女性らしいからそんなこともないんだろうか? あまりイギリス社会には詳しくないのでわからない……
Puzzlement
そうそうこういう曲を求めてたんですよ。映画版にはなかった気がする……というか何れにせよ映画に増して王の心臓病描写とか、王が王であることへの責務みたいなところの描写が増えていてとても良かった。映画の病死はあまりにも唐突に感じていたので……もうこの時点で心臓ヤバそうな雰囲気若干あるよね。あとこの辺りで侍従長良いな? と思い始めてきた。
渡辺謙、そう歌が上手い! という風には感じなかったんだけど(決して下手であるわけではない)、「悪い人ではないが性格と考え方にどうしようもなく難がある男」が苦悩して王をやってるという表現がちゃんとできてるのでそこが評価されたのかなぁと思う。アンナも王も「かわいいひと」達なんだよな。
Getting to Know You
”My cup of tea”があまりにも可愛い。子どもたちとアンナがわ~いってなってる後ろで静かにティプタムとルイスが二人で仲良くしてるのメチャ微笑ましい。
We Kiss in a Shadow
やっぱタプティム歌上手いな……あと庭が綺麗。曲自体は特にノーコメントです ラブソングには興味が沸かないものでして……
A Puzzlement(Reprise)
ルイスと皇太子の曲あるの?!?!?!! とビビりちらかしてしまった。いや可愛いわ……船に乗せる大荷物を抱えてるルイスが皇太子と鉢合わせて最初はお互い無視してるんだけど、ルイスの方がわざと荷物を床に落とし水を注してそこに皇太子が「さっきはごめん」と謝る流れからのリプライズ。可愛い……最後のルイスの”It’s a puzzlement!”が「超ムズい!」と訳されててまた可愛いなオイオイと思うなど。普段ショタにはあまり興味がわかないんですがやっぱ燕尾服を着る英国ボーイは攻撃力が高かったですね……
Shall I Tell You What I Think of You?
アンナ怒りの歌唱。この曲あるのとないのとで大分アンナへの印象変わるな。英国淑女がブチギレるわけですよ。でもキレてもなおお下品な言葉は使わないわけですよ。最高ですね。かわいい。
Something Wonderful
歌ウッッッッッッッッッッッッッッッッッッマ…………………………エッ何? チャン王妃何者??? すごいうまい……音圧が凄いタイプだ………チャン王妃というキャラクター、映画だとなんか完全に伝達係みたいな感じであんまり個としてのキャラクターを感じなかったんだけれども、これ見てみると王の事は本当に欠点も含めて愛してて、アンナやタプティムの心情もわからないではないけどプライオリティには王を置かずにおれない人なんだろうな。
クララホムと結託してお互いアンナと王をいい感じに動かしてますよ、と示唆するあの一瞬の会話シーンとかゾクゾクしちゃうね。一瞬これでクララホムとチャン王妃が謀反起こすのか? とか思ってしまった私は俗世に浸かりすぎた。
「一週間で準備するぞ! 時間はないんだ急げ急げ!」からの「え? もう来たの? …………えっ……?」、完全にお笑いの構文だしその場の全員固まってたの面白かった。
お祈りシーン。「ほんまこの人はしゃーないな」と呆れるアンナ可愛いね。あとしれっと頭が高いルイスくんも好き。家の約束してもらえたときの二人のこみ上げる笑顔はとても可愛い。可愛いしか言ってねえな。
・第二幕
Western People Funny
何故これを映画に入れなかった……? あるのとないのとでオリエンタリズムがかなり変わってくるよ……あとやっぱチャン王妃歌上手い……エドワードあんたはガン見するんじゃないよ。
I Have Dreamed
チャン王妃~!!!! 普通だったらそこで王を思うが故に邪魔をするとかしそうなのに彼女はそうはしない すごいよ……普通できることじゃあないしクララホムはその対極なんだもんな……
Song of the King
アンクル・トムの小屋の結末に真っ先に体で反応するのは王ではなくチャン王妃なんだな……王の”They are sick!”がおかしくも悲しい。文字通り病気なのはアンタなんだよ……
Shall We Dance?
良かった……かわいいふたりだった……ドレスのひらひら具合がもはや芸術だった……それしかない……
でもこれの直後にタプティムがひっ捕らえられてしまうしルンタは死ぬ……悲しいね……クララホムの「お前の所為で私の王はかつての王で無くなってしまった!」という絶妙に重い忠誠心からの慟哭は響くものがある。変わるべきであったけれどもそれを変えられたくない人は必ずいるわけで。
I Whistle a Happy Tune (Reprise)
だからこれも何で映画でやってくれなかったの!??!?!!?!!! 最後の授業じゃん……いやまぁ結果的に最後ではないんだけど……
王の死、なにげに侍従長も跪いてるんだよね……革新的な次世代の王の誕生と保守的な前時代の王の死。新しい王への希望と古い王への悲しみが同じ舞台の上に同時に存在しててこう、欲を言えばもっと余韻に浸らせてほしい。感情の処理が終わらないままカーテンコールへ移ってしまう。ちょっとだけ一時停止させてくれ。
あとカーテンコールの感想。渡辺謙、おっちょこちょいなのか? 気が抜けたのかオーケストラ指すところを一個飛ばして後ろの子どもたちを前に出そうとしてアワアワしたり、多分メインだけ残って捌ける予定のところで連携取れずにワチャワチャしたり。可愛かったです。