Dear Evan Hansenをロンドンで見た

2020-02-25
F18
 なんか皆泣いたな……という全体的な印象。Evanは勿論だけど、Larry,Jared,Alanaまでもが皆等しく泣く。人は皆弱いのだ。なおキャラ主体+BW版と比較した感想が主なので初見に優しくないです。

Anybody have a map?
 このHansen家、一番上手く行ってなさそうだな……と感じた。上手く行っていないというのは一番目に見えて口論などが激しそうという意味。実際そうだった。Evanの顔がずっと死んでる。もう諦めてるじゃん何もかもをさ……ホントにEvanがConnorの立場になっててもおかしくなかったよこれは……仕草としては不安なときは口元に手やったり、耐えなきゃいけないシーンでは指先で太股とかわき腹のあたりぐさぐさしたり、Jaredの笑えんジョークには両手で顔を覆ったりしていた。特に腿をぐさぐさしていたのが印象強い。自分で自分を罰しないで……
 Connorは最初の食卓シーンでは半袖にノースリーブのベストを着ていた。やっぱり黒マニキュアだし左手薬指中指にシルバー巻いてる。「ハイじゃないでしょ?!」の問いには無言で起きあがってCynthiaの方を振り向いたかと思えば虚空を無表情で見つめていた。いやそれニタ……って笑うよりもガチでやべーやつじゃん……それからMichael ParkのLarryが体に染み着いていたので、眼鏡かけてる長身痩躯の結構若めのイケオジLarryが余りに予想外すぎてちょっとフリーズした。200cmぐらいない? 立ちあがった瞬間あんまりにデカすぎて困った(何に?)

Waving through a window
 AlanaはどこでもAlanaだな~……強い。というか私は推しがいると推ししか見えなくなるタイプのオタクなので、Jared Kleinmanがポケットに手突っ込んで威張りちらして歩いてるエリマキトカゲではないことにまずビビりました。両手でリュックの紐握って離さないJaredは新概念だった……BWのJaredがどうしようもないゲーオタなら、WEのJaredはどうしようもないアニオタだった。そういう雰囲気の違いを感じた。伝わってほしい。まどマギの考察解説とか頼んでもないのに延々と喋ってそう(あまりにもひどい偏見)。
 Zoeと握手しようと手を差し出して「ハァ↑ン?!」みたいな声出して手を引っ込めてズボンの裾で拭くEvan。ガチ恋してるアイドルの握手会にきてしまった限界ドルオタかよ。……いや、Zoeもジャズバンドやってるし強ち間違いでもないのか?

 改めて見るとWaving~からMurphy家との出会いまでかなりテンポ早いんだな……と思うなど。一瞬でConnor死ぬからな……BWの時には(多分なかった)Jared/AlanaとのSNS画面がかなり可読性高かったので解読に必死だった。AlanaのSNSはConnorについてシェアしてね、的なことが殆ど。日付はおそらく9/23or5? JaredのはEvanとのメッセージ履歴で、Family friendsと言い張っている割にはそこそこの頻度でやりとりしている。Evanが何かしらのURL送ってそれに”cool.”って返してたり、何かしらのファイルを送ってくれとJaredが頼んでEvanがMeshってファイルを送っている。いやだからそれはただの友達だってば……

For forever
 Zoeがず~っと「いやそんなんありえんでしょ嘘嘘絶対無い」って顔なのこっちが怖くなってきちゃうんだよな。よくもあんな状況下で盛大すぎる嘘を吐けるよなEvan……ホント詐欺師の才能があるって……

Sincerely, me
 本当にこのメール捏造の値段交渉がとても好き。というかこのI was the only CIT with key card access to the computer cluster this summer、CITじゃなくてJunior なんとかかんとかって言ってた。何だ? どっちにしろここの解釈果たしてどう取れば良いのかよく分かってないんだけれど……そもそもCITは結局何の略称なんだ……?
 黒パーカーの前を開けているタイプの幻影Connor。なんかね、この幻影Connorね、特に優しさを感じた。動作がどことなく柔らかいというかなんというか、包み込むような感じ? Evanの纏う絶望感が強かったから余計にそう感じたのかもしれない。ここの振り付けもそこまで粗雑というか乱雑さというか、多少は必ずあったラフさというのが丸みの帯びた(Evanの考えうる範囲の)ものに留まっていた印象。あとEvanとの身長差が絶妙な具合で一緒に肩組んだときの収まりがちょうどよかった。
 ”Why would you write that?!”、マジで焦りと動揺と怒りが凄かった。ヒヘヘヘヘみたいに笑うなJared。”Shut up!”も”What the hell?!”も大分キレてたしこのEvan結構怒るし怒ると怖いぞ……”My sister’s hot”で怒られたJaredの反応は普通に素で「あっ悪い悪い」みたいな感じで謝っててこっちが挙動不審になっちゃった 嘘?! お前普通に根が良い奴なのでは?! 今まで性根腐れねじ曲がったJared Kleinmanしか摂取してこなかったから心臓がびっくりしちゃったよ どうしましょう 三人パートになった後のEvanとConnorのやりとりが濃密なところとかまったく入る余地なくて不満そうな顔すらしてたもん。何なの? ただのFriendじゃんそれは。認めろよ。まぁEvanの方からするとJaredは本当に文字通りFamily friendであってFriendとは露ほども思ってなさそうだけど……

Requiem
 このあたりで皆バカクソ歌上手ない?とぼんやり感じた。というかこの公演、始まる直前に気づいたんですけどチャリティ公演だったらしく、出資者(でいいのか?)であるウィリアム王子とキャサリン妃が二階の最前にいたんですよね。チケット受け取りの時にどう考えても観劇側ではなさそうな装いの人たちが脇に詰めてたりやたらセキュリティチェック厳しかったり会場の雰囲気もピリピリしてたし席に着いたらなぜか皆上空をちょろちょろ気にしているので不思議だな~とは思っていたが……王族の尊顔を肉眼で見れたのがこの不幸にまみれたイギリス旅行でほぼ唯一の予期しない幸運だった。
 ま~じでLarryが好きすぎる。苦悩するイケオジしんどいし細かい文字を読むときだけ眼鏡をかけるのはオタクに刺さる。仕事メッチャできるんだろうなLarry Murphy……そりゃそうだよな………っていうか脚長すぎてソファ余らせとるやんけ!!! ありがとう……ありがとう……
 あと”you were not the monster……that I knew”の……の部分で一回詰まって泣いちゃうんですよZoe。知らない兄に戸惑いやり場のない怒りを抱える妹、好きな概念だね。そうだね。

If I Could Tell Her
 ここらへんのHansen家の会話、もう完全に二人の心がすれ違っちゃってて辛い。ここでHeidiが食事の約束忘れてなければな……
 ベンプラが”he didn’t”って言ってたところはもにゃもにゃ口ごもって曖昧にしていた。キスはでき……ない! 掌ですんでのところで押しとどめられる! 冷静に考えるとマジでEvan何しでかすか分からんから怖いんだよな……DEH、見てくれがめちゃくちゃ美しいから誤解しがちだけど、その実体は嘘を嘘で塗り固めたエグい虚像でしかないので……エゴの塊だよEvan Hansenってやつは……

Dissapear
 やっぱこのConnor優しいんだよな。BWはMikeもAlexも高めの声でちょっと後に尾を引く伸びやかな歌い方だったんだけど、こっちのConnorは声低めでぽつりぽつりとではあるがしっかりと足跡が残るような歌い方だったので、安心感や安定感を強く感じた。あとここでもずっとリュックの紐持ってるJared。”no sweat!”はヒソヒソ声で言う。だからお前はEvanの何なの?

You Will Be Found
 スピーチの途中で崩れ落ちちゃうところ、スポットライトから逃げるように後退って過呼吸になってたのキツかった。文字通りstep out of the sunじゃん……Connorのネクタイを見て決意するところは決してネクタイに勇気を貰ったわけではなくて、もう列車が走り出してしまった以上逃げ場はないのだからという少なくともプラスではない覚悟を決めるファクターとしてネクタイが働いているのではないか、と思った。とことん陰鬱なものをさも白く見せるミュージカルだなDEH……いやまぁこれは一個人の解釈にすぎないんですが……
 後半でLarryが眼鏡を毟りとって膝から崩れ落ちてわんわん泣くのめっちゃ刺さる。いろんな意味で。だって身長200cmはあろう成人男性が背中を丸めて妻に支えられて泣くんですよ……そんな……そんな光景が刺さらない人間がこの世にいますか?!?!?!!?!!?!!!(オタク特有クソデカ主語) そしてHeidiだけが笑顔でないのが本当にね もうね どんな気持ちなんだろうな一体……

第二幕
Sincerely, Me(Reprise)
  終始Alanaの勢いに負け続けるEvan。ここのJaredの高笑いはやっぱり三下でした。ヒッヒッハッハッハwwwwwって感じの。死人をおもちゃにすな!! あ、あとPCはMacじゃなくてSurfaceだった。強制終了された時の「え? 何でダメなの?」ってキョトンとして純粋に疑問に感じてるふうなのがまたお前お前お前~~~!!! 普通の人間じゃん!!!!!!(この記事はJared Kleinmanの限界オタクにより書かれています)

To Break In a Glove
 パパ~! BWとWEで役者が違うという理由以前に、そもそもキャラクターの作り込みからして方向性変えてきてるな、と感じたのはJaredとLarry。BWは息子と考えが致命的に合わなかった以上にLarry本人の意地の強さが禍根になったところ大きいんだろうな、と感じられたんだけど、WEはLarryの意地が強かった以上に(勿論Cynthiaとの口論の様子を見る限り人の三倍ぐらい頑固であることに変わりはないんだけど)、ホントに子育ての仕方が分からんくて途方に暮れてた(けど意地があるのでそれを表に出せなかった)パパ、という印象が強かった。”For a kid who’s lost……control”はもう完全に一回演奏止まるぐらいのタメがあった。ちょっと目元拭ってたし。パパ…………このパパメッチャ泣いちゃうじゃん…………続く歌詞の自分に言い聞かせてる感も凄かった。弱々しかったけど………パパ……

Only Us
 BWはたしかベッドがくるくる回ったけどWEは回らないのでちょっと寂しかった。ハモリがスゲー良かった。ラブラブしてる曲は基本宗派の関係上おいしくいただけないのでこれぐらいで勘弁させてくれ。

Good For You
 Heidiの怒りが猛烈だった。唾めちゃめちゃ飛んでた。こわい。ほんとにこわい。震えちゃう。
 Alanaの「私も誰にも見てもらえない気持ちが分かるから!」という台詞は完全に泣き叫びながら言っていたのがすごく印象に残った。Alanaも相当孤独なんだけどシーンが少ないからなかなか背景が窺いしれないんだよね。ノベライズでも出番少ないし……
 Jaredに至っては”Help the Murphys”のところ、嘲りや呆れでなくもう完全に震え声というか泣き出す寸前だったしマジでこれはEvanしか友達のいない可哀想な人間じゃないですか……? 唯一の友達を突然出来た女にとられて八つ当たりしてるただの可哀想な人間じゃん……あとwonder of wonder,miracle of miracles、会場自体もクスリとしていたのでやっぱこれは意識してるということでいいんだろうか? 何しろこいつは公式が作ったSpotifyのプレイリストにさえMiracle of miraclesが入っている人間だからな……(DEHにはなぜか公式が作ったイメージソングプレイリストが全キャラに存在する) Asshole!のところはもう完全に泣いてたよ。可哀想に。
 あとこれは完全に余談ですがここのJaredのTシャツ「巨大リス」って書いてあったんですけど……何で私の推しは謎日本語Tシャツ着がちなの……? 正直巨大リスが気になりすぎて曲に集中できなかったところあるんですが……?

You Will Be Found(Reprise)
 もうボロボロのEvan。Connorに宥められるまで怒鳴り散らしてるけどもうこれは自分への怒りなんだろうな。だから自分を罰しないで……Alanaが私もメールを作った、と言ったところで虚を突かれたように目を見開くEvanが哀れすぎる。後ろでキックスターターのページが出てるんだけど、40人前後だった寄付数がゴリゴリ増えて200人超えるのが現代をビシビシと感じさせてきてエグい。

Words fail
 Murphy家の親子喧嘩、ガチなんだよな……最後の最後まで縋ろうとするCynthia辛いよ。Evanが三者それぞれについて言及するところ、皆が皆首を振ってEvanから視線を逸してしまうのもうどうしようもないよな。でもってどうしてみんな泣きながら歌えるんですか? 本当に訳がわからない。
 全てが終わった後のConnorはやっぱり無表情。ここのConnorは何度考えても本当にどう解釈すればいいのか分からない……何なんだろう、Evanがネタばらしをしたことによって操り手のいなくなったConnorのガワとか、そういうことなのか……? 今考えついた説だけどなんかそれっぽいような気がしなくもない。

So big / so small
 BWは二人ともボロッボロに泣きながら親子の絆を確かめ合うという印象が強かったけれど、WEはここではあまり泣かずに寧ろHeidiが母親としての覚悟を改めて決意する、というシーンのように感じられた。最後の最後でゆっくりと、互いに伸ばして重ね合っていたEvanとHeidiの掌が離れていくのが印象的だった。離れていても必ず側にいるからね、とそういう感じだろうか。

 前述したようにチャリティ公演だったので、カーテンコールの後にEvan役のSam Tuttyからちょっと挨拶があった。社会不安障害を抱える人々の支援団体に売上の一部が寄付されるっぽい。DEH、チョロチョロ国内でも演ってるところ出てきてるし日本で公式ツアーやってくれ っていうか映画化早くしてくれよ パセク&ポールやぞラ・ラ・ランドとグレショとSpeachlessやぞ トニー賞受賞作品やぞ ネームバリューしか概ね目に入らん日本の広告屋も大満足でしょ早くして

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